紙の良さは、「逸脱」にあります。ここで言う逸脱とは、自由な探究のことを言います。
「鉛筆で濃淡のある印をつける」「切って試してみる」「ゴールや途中から解いてみる」など、予定されていないやり方で自由に試行錯誤することができます。
こちらは、実際に私たちの研究授業で子どもたちに解いてもらった問題です。
書いたり消したり、ルール上通ってはいけないところも行ってみたりと、答えに直接結びつかないこうした手間は、子どもにとって「不便さ」のように感じられるかもしれません。
ですが、手間があるからこそ、例えば間違ったものを消す時にも「どこまでは合ってるか等を考えながら消す」「この辺がどうも怪しいとあたりをつけてから消す」といったように、考えながら問題を解こうとする動機になります。
紙だからこそ自由に試せる良さは、問題を解く時だけでなく、問題を作る時にも発揮されます。実際に子どもたちが作ったものをご紹介しながら説明していきます。
これらは実際に子どもたちが作ってくれた問題です。どちらも、教材作成者の意図を超えて子どもたちが自由に試行錯誤をした結果です。
1枚目の問題は、問題自体の形も枠にとらわれず、それでいて星のそれぞれの区画が迷路としての役割を果たしており、左側に難易度設定まで書いてある遊び心のある問題です。
2枚目の問題のようなものをお子さまが作っているのを見ると、少し心配になることもあるかもしれません。ですが、適当に作っているのではなく、純粋に「こうした方がおもしろいのでは?」と教材作成者側の意図を超えた工夫をしていることもあります。
アプリ教材では、入力できる範囲とそれに対する反応はある程度決まったものになります。例えば、アプリ教材では「どこに線を引くことができるか」「どんなアレンジができるか」も開発者が用意した範囲内でしか試行錯誤できません。
ですが紙ならば描画の範囲、追加ルール、何を「ゴール」「目標」とするかも何かにとらわれることがありません。子どもたちの発想をそのまま表現できるアナログ教材で問題を作ることには、そうした「程よい余地」を残しておきたいという意図があります。
問題と関係なさそうなことをしていると、保護者としては「問題の指示通りに解いてほしい」という気持ちになるかもしれません。ですが、ワンダーボックスの教材では、「これを試してみたい」という好奇心の芽生えとその試行錯誤も「知的なわくわくの時間」ととらえています。
自ら課題を見つけ、自分なりのやり方を模索していく経験を積むことは、思考が柔軟で何にでも興味を持てる時期だからこそ大切です。
好奇心を育てる場と、緻密な思考が求められる問題に向き合う場、ワンダーボックスにはどちらも用意されています。