2024.03.22

2コマ漫画の「オチ」を描くアート教材「ずっこけびじゅつかん」紹介

今月号ではアート教材「ずっこけびじゅつかん」が登場します。
「アート教材って実際に何をするの?」「この教材でどんな力がつくの?」といったことについて、この記事で解説していきます。

「ずっこけびじゅつかん」ってどんな教材?


「ずっこけびじゅつかん」には、「ずっこけ2コマ」と「おえかきクエスト」があります。

「ずっこけ2コマ」で、お題の絵から「このあとどうなった?」を考える、2コマ漫画を作ります。

絵を描いた経験が無くても、「おえかきクエスト」で顔の描き方、表情のつけ方、色の塗り方に慣れていくことができます。
クエスト形式でひとつずつステップアップしていくので、「できた!」という達成感をつみあげながら、描けるものを増やしていけます。

「ずっこけびじゅつかん」で大切にしていること

  • 「オチ」を考えることで、発想力が培われる

  • 絵の上手下手は問わない

  • 絵だからこその表現
あらかじめ設定された1コマ目から、「この後どうなったらおもしろいか?」を自由に描くことで、楽しみながら発想力や表現力を育みます。

おもしろいオチを考えるには、「普通こう考えるだろう」という発想を想定した上であえて外す、という思考が求められます。

そのため、他者の考えに思いを馳せようとする姿勢、人と違うオリジナルの発想を追求する姿勢が培われます。

また、言葉ではなく絵での表現だからこそ、より細やかに自分のこだわりを表現したり、言葉では伝えきれない気持ちや状況を伝えたりできるのも魅力です。

作品からインスピレーションを得られる「びじゅつかん」

「みんなのさくひん」は26日頃から、「ピックアップ」は30日頃から公開されます


「びじゅつかん」では、自分の作品を飾ったり、みんなの作品を鑑賞したりすることができます。「今度はこういうものを作ってみようかな」という良い刺激を得られる場として、ぜひ活用してみてください。

「じぶんのさくひん」の中には、子どもならではの視点で描かれた作品もあれば、保護者としては心配になってしまう作品もあるかもしれません。

例えば自分にとって印象的であったものから連想して、「食べられちゃう」「爆発させる」といった表現を楽しむという傾向は多くの子に見られます。

子どもが、単純に「楽しいから」という理由で例えば虫を殺したりと一見残酷なことをすることはよくあります。*1
 こういった行動は、「自分以外の痛みを理解する」といった高度な共感性や他者理解が培われることで、次第に落ち着いていきます。

大人から見て「好ましくない」行動も、時に経験的な学びの場として倫理観の発達に寄与することもあります。*2
最初から「そういうのはダメ」と否定せず、見守っていただけますと嬉しいです。


(参考文献)
*1 佐藤英文(2014)子どもの頃に土壌動物を殺してしまった体験について―保育者をめざす学生のアンケート結果から―.鶴見大学紀要 51: 11–17.
*2 河合隼雄(1997)子どもと悪.岩波書店


以上、アート教材「ずっこけびじゅつかん」の紹介でした。
自分の考えた「オチ」を絵で表現してみる楽しさに、ぜひふれてみてください。