2023.12.28

ワンダーボックス会員が脳科学者の瀧先生と開発者の川島に質問!保護者交流会イベントレポート

先日募集させていただいた「瀧先生×川島対談イベント」で、みなさまからいただいた質問に脳科学者の瀧先生と弊社代表の川島に答えていただきました。知的好奇心をテーマに、脳科学者や教育者の視点から様々な見解が得られた本イベントレポートをお送りします。日頃の子育てのお悩みが解決する一助となれば幸いです。




話し手のプロフィール

脳科学者
瀧靖之先生

医師。医学博士。東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長・加齢医学研究所 教授。東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人にのぼる。『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)は10万部を超えるベストセラーに。一児の父でもある。


話し手のプロフィール

ワンダーファイ株式会社 代表取締役
川島 慶

東京大学大学院修了。 過去に算数オリンピック・世界算数の問題制作者、東京大学非常勤講師を務める。 2017年より三重県数学的思考力育成アドバイザー。 開発した思考力育成アプリ「シンクシンク」は世界150カ国250万ユーザーを持ち、「Google Play Awards」など、国内外で受賞多数。 2020年、STEAM教育領域の通信教育「ワンダーボックス」をリリース。

子どもが能動的に取り組めないとき、どうしたらいい?

Q. 毎朝通園時にワンダーボックスのアプリを利用しています。息子も毎月キットが届くのが楽しみで、自発的に取り組んでいます。
小学校に進学するにあたって机に向かう勉強が始まりますが、ワンダーボックスで得られる知的好奇心をどのように小学校の座学へ移行させればよいでしょうか。
楽しいだけではなく嫌でもやらなくてはいけないことが今後あるかと思いますが、子どもがきちんと向き合えるか心配です。
瀧先生:シンプルに楽しくやることが大事です。「はまること(夢中になること)」が汎用的な経験になります。何かに夢中になる経験をすると、別なことにも夢中になることができます。

川島:やりたくないことを押しつけるよりも、子どもが夢中になっていることを大事にする方がよいですね。「こういうことを好きになってほしいな」というものがある場合は、親がより、近所の誰かとか、習い事で会う年上のお兄さんお姉さんにやって見せてもらった方が効果があります。

アプリの適切な使用時間は?

Q. ワンダーボックスもアプリを使用しますが、スマホやタブレット、パソコンなどのアプリ使用(スクリーンタイム)は脳に悪いような気がしてしまいます。
おおよそどのくらいの時間の利用なら、子どもの脳に悪影響が無いのでしょうか?
瀧先生:明確な基準はありません。本来だったら寝る/食事をする/家族と過ごすといった使い方をするはずだった時間を、どこまでスクリーンタイムに置き換えるかという話になってきます。

子どもは自分でやめることはできないという前提で、どこまで家族の時間を割くか。 個人的には、30分とか1時間くらいにしておいた方がいいかなとは思います。絶対にアプリ的なものに夢中になる時期は来ますが、その前にアウトドアや外遊びの楽しさを知っていれば、アプリ的なもの以外にも戻って来やすくなります。

「ひとつの答え」がない課題は、それでいいのか不安になってしまう

Q. 正解のないコンテンツは親子ともに苦手意識があり、うまく楽しめません。楽しみかた、気分の上げかたを知りたいです。
川島:正解のないコンテンツに、「これで合っているのかな?」と思うのは、健全な反応と言えます。デジタルなものと比べると、アナログで、どう使うんだろう?というものは没頭するまでハードルがあります。 

一緒にやる時の接し方としては、お子さまが何か達成したとき、できたことそのものではなく「挑戦し続けたからできた」ということに対して肯定的な言葉をかけて、挑戦を後押ししてあげてください。

挑戦を続けることで、知的なわくわくや考えることの楽しさを繰り返し感じられると、ちょっとわからないことでも「とりあえず挑戦してみたらおもしろい結果がかえってくるかもしれない」と思えるようになります。正解のない課題は、挑戦に前向きになるという姿勢が育まれることに意義があります。

空間認識力が伸びているか確かめることはできる?

Q. 空間認識能力を測るテストはありますか?ワンダーボックスを利用しているとき、親よりゲーム感覚で早く解いています。空間認識能力が伸びていると感じますが、感覚だけなので、具体的にどのくらい伸びているのか知りたくなりました。入会時、現在…と比較できる基準があれば嬉しいです。
川島:弊社アプリのシンクシンクで行っている大会のスコアはある程度指標にはなります。
ただ、何か指標を設けてそれを達成するためだけに最適化することは、それ以外のことを犠牲にすることになります。

例えばAIを活用して「これを身につけさせるにはこれ」と効率的な順番付けをすることはできますが、一見全く目標と関係ないことに挑戦することにも、スコア化できない良さがあると感じています。その子がわくわくしてできるものを提示し続けてあげる方がはるかに良いです。

以上、保護者交流会イベントレポートでした。ご質問いただいた方や今回はじめてご覧になった方にとって、有意義な内容となりましたらうれしいです。

瀧先生と川島の対談記事についてはこちら
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