味、手ざわり、音、におい等、見えないものを「見える」ようにするジュニアプラスコース向けアート教材「ミエールのへんてこミュージアム」。
自由創作系とあって、「どういった教育的意義があるのかもっと知りたい!」「子どもにどんな声かけをしてあげたらいいか迷っている」等のお声を皆さまからお寄せいただいております。そこのところを、教材開発者に直接きいてみました!
「ミエールのへんてこミュージアム」の教材概要は下記の記事をご覧ください。
もくじ
Q.「ミエールのへんてこミュージアム」を楽しんでくれてはいるのですが、遊んでいるように見えて不安です。教材としての意義をもっと知りたいです。
- 抽象的な図形を使うことでオリジナリティの発見をする
- 自分の感性を深掘りしてアウトプットする
- 「目には見えないもの」を自由に想像する経験を培う
「他の人がどう思うか?」にとらわれず、自分の感性のままに表現できることは、この年代の子が持っている特質のひとつです。
「ミエールのへんてこミュージアム」では、抽象的な図形にその子なりの意味を込めることで、言葉を使わずに自分の内面を表現できます。そうした創作活動を通して、自分の感性や考えを表現することを楽しむきっかけにしてほしいと思っています。
テーマ選びには、「子どもたちにとって伝わりやすく、表現することを楽しめるもの」や「子どもたちにとって身近で、興味を持ったときにパッと確かめられるもの」というこだわりがあります。例えば、「におい」がテーマになっている回では、「あまいにおい」「へんなにおい」「おいしそうなにおい」といった、生活の中で感じられるものというように。
「へんてこミュージアム」なので、ミュージアムの様子を隅々まで見てみると、私たちにとってはありふれたものが、「すごいもの」として展示されています。「へんなの!」と子どもたちがクスッと笑えるような世界観にしています。
ありふれたものを自分の感性で捉え直すこと、みたこともないものへの想像力、そういった世界観も楽しんでほしいなと思っています。
Q. 子どもの作品を見て、どう褒めてあげればよいのかわかりません。「こうした方がいいんじゃない?」と、つい保護者として助けてあげたくなります。
「褒めなきゃ」と思わなくても大丈夫です。その子が表現したままを、ただ言葉にしてあげてください。
例えば、これは私たちの研究授業で子どもたちに教材を試してもらったときの作品です。
もし講師としてこの場にいたら、どんな声かけをしていたかもあわせてご紹介いたします。
子ども一人一人の作品の真意をくみとって的確に認める、といったことは本職の教師でも難しいことです。「正当な評価をしよう」「的確に褒めてあげよう」というよりは、全部見たまま言葉にする、というだけでも十分です。
子どもは言葉と行動のつながりがまだ弱いので、大人がそこをつなげてあげることで、子ども自身の語彙が増えていきます。子どもはそれを聞いて、「これはこういうふうに言うんだ〜」と真似して学習していきます。
これは実際の授業であった話なのですが、□を回転させていたので「ダイヤの形に似ていてキラキラしているように見えるね」と言ったら、そのあとも「見て〜!キラキラダイヤにしたの〜!」と言われたことがあります!新しい語彙をとりあえず使ってみたくなるのが、かわいいですね。
「これはどうしてこうなの?」と子どもたちに聞いてみても、自分の考えを言葉として整理することがまだ苦手な年代なので、何も答えが返ってこないということも、もしかしたらあるかと思います。むしろそれが普通と言ってもいいかもしれません。ただ、答えられなかったからといって、何も考えていないというわけではありません。
直感や感覚にすぐれる年頃なので、直感的に理解はできているけど、なぜそうしたかを論理的に筋道立てて言葉にするのはできない、という状態になることも多いです。思っていることはあるけど説明はうまくできなくて、大人からすると理解できないことを何か言っている、というのは授業でもよく見かけます。そうした様子は、未熟というよりは、「その年頃の自分」として完成していると思ってあげてほしいと思います。
以上、「ミエールのへんてこミュージアム」についてのQ&Aでした。