2023年のテーマは「石」です。
産地や含まれている成分の比率等、様々な条件が重なり合って石は出来ています。
さらに、石の美しさに魅了された人々の間を渡り歩く中で紡がれる歴史や文化等、「石」には様々な切り口からの味わい方があります。
ボックスのイラストには、「石にどのような意味が与えられてきたか」「どこで産出されるか」といった石にまつわるあれこれが登場しています。
パッケージのこのイラストは、ザクロを表しています。ガーネットの原石はザクロのように赤く、且つザクロのような粒を成すことから、柘榴石(ざくろいし)と呼ばれています。
柘榴石
ザクロの実
実はこのガーネット、日本の川で見つけることもできます。川でよく見つかる砂粒のように細かく砕かれたガーネットには、宝石としての価値はありません。
(粉末のものは産出量が豊富で、ガーネットはダイヤモンドに次ぐ硬度を持つため、研磨用に工業的な需要があります。)
ですが、ガーネットは超高圧で超高温の地層の深部から、長い時を経て削り出され、身の回りに流れ着いているいわば「地球の歴史のかけら」です。
自分で探して直接ふれてみることで、大地の成り立ちに思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。
下記の書籍に、どのような石が見つかるか、どこで見つかるか等が紹介されています。
興味のある方は、暖かくなってからぜひ石探しに挑戦してみてください。
柴山元彦,井上ミノル. 創元社, 2018, 160p ,ISBN978-4-422-44015-6.
中央のイラストは?
ボックスの中央を飾るガーネットは、カッティングという技術によって、人の嗜好に合うように光の反射や分散、屈折をコントロールした姿でもあります。
単一の結晶としての大きさを十分に備えたものだけが、カッティングを経て独特の輝きと透明度で貴ばれる宝石となります。
ガーネットは宝石類の中でも特に古くから人との関わりがあります。
例えば旧約聖書においては ガーネットがノアの方舟の行く先を照らしたという伝承があります。
ガーネットの赤色は、「血の赤を身につけることで血を遠ざける」戦いのお守りや、変わらぬ愛を伝えるものとして、人々に解釈されました。
(現代の定義では、ガーネットは構造を同じくする結晶体のグループ名であり、ガーネットに分類されるものの中でも、成分や色が様々に異なります。)