2023.10.24

【6歳~(小学生)】ぶどうでシャツを染める「化学実験」。サイエンス教材「ケミーのじっけんマップ」新テーマ紹介

Vol.ターコイズ(11月号)のサイエンス教材「ケミーのじっけんマップ」には、新テーマ「シャツを染める」が登場します。今回の記事では、「染め物というテーマの教育的意義」「もっと知りたいお子さま向けの参考書籍等」について紹介いたします。


なぜ「染め物」?

繊維に色を定着させる「染め物」には、様々な化学反応が関わっています。今回の「ぶどうでシャツを染める」という現象を化学的に説明すると「水にとけたアントシアニン色素の分子と、繊維の分子との結びつきが強くなるように、媒染剤の銅イオンが両者の性質を仲立ちすることで、洗っても色が落ちなくなる」となります。

※染料分子と繊維の分子との結合は、上のようなイオン結合による以外に、水素結合(イオン結合よりも弱いプラスとマイナス間の引き合いによるもの)や、分子間力や、配位結合によるものがあります。また、染料分子と繊維分子を化学的に反応させ、共有結合を形成させることで結合させるタイプの、反応染料という染料もあります。
引用元:牛田智.”染色をする人のための化学の基礎知識”. 武庫川女子大学 牛田研究室. 2006年(参照2023年10月6日)


もちろんこのような化学的な説明がなされるずっと前から、染め物は私たちの生活に深く関わってきました。今回の教材も、「用語を覚える」というよりは、「ぶどう、酢、銅」でシャツを染めることができるという現象の不思議さにふれることが趣旨です。


素材と技を自由に組み合わせて、「これとこれをまぜたらどうなる?」という知的好奇心の赴くままに、探究を深めてみましょう。

「もっと知りたい!」というお子さま向けの書籍等

春田香歩. 偕成社,2018年,95p., ISBN978-4-03-525850-6 (参照2023年10月6日)

布を染める仕組みのより詳しい解説や、どんなふうに染まるのかが写真付きでわかる書籍です。おうちでやってみたい!というときに、ぜひ参考にしてみてください。

齊藤春香. 令和3年度東京都小学生科学展 東京都教育委員会. 2021年.(参照2023年10月6日)

シミの落とし方を小学6年生が自由研究にまとめたものです。
今回のテーマは「染め物」ですが、食べ物のシミはある意味とても身近な「染め物」です。

不本意ながら染まってしまった状態から、どうすれば元に戻せるかという切実な試行錯誤が、例えば「水に溶けやすい」「油に溶けやすい」といった物質の性質の違いを知るきっかけになります。


以上、「ケミーのじっけんマップ」新テーマ「シャツを染める」の紹介でした。ケミーのじっけんマップはまた違ったテーマで登場する予定ですので、楽しみにお待ちいただけますと幸いです。