2021.12.22

まぜまぜパレットの、「これどうする?」一緒に取り組む際の声かけ例

色をまぜまぜして新しい色をつくる、4歳〜(年中・年長)向けアート教材「まぜまぜパレット」。
今回は、一緒に取り組む際のよくある事例と声かけ例を、教材開発者に語ってもらいました。

※教材の詳しい内容は、「まぜまぜパレット」で、虹と花火を楽しもう。をご覧ください。



「まぜまぜパレット」で、自由に色をまぜていいよと言ったら、茶色っぽい色が多くなってしまいました。教材の取り組み方として、これでいいのでしょうか?


A.茶色くなるのは、「たくさんの色を使ってみたい!」という気持ちのあらわれです。「茶色っぽい」の中から、徐々に違いを見つけていきましょう。

いろんな色を混ぜて「茶色」に行き着くのは自然なことなので、気にしないのが一番と言いたいところですが、傍で見ていればどうしても気になるというのも、もっともです。なぜ「茶色」になることが多いのか、子どもたちの行動の背景についてお話しさせてください。

最初の「クエスト」(まちに色を届けるというストーリー)では、いろんな色の組み合わせに触れてもらえるよう、あえて使える色を絞っています。だから、全色使える!となったときに、全部まぜてみたらどうなるんだろう!?と試してみたくなるのは自然なことです。


「全部茶色になる」パターンとして、ただひたすらに絵の具を出して混ぜている、という子もいるとは思うのですが、「赤と、青と、黄色これぐらいにして…」のように、「これも入れたい!」「あ、これも!」となることによって、いつの間にか全色混ぜ合わせることになる、という子が多いのではないかなと思っています。

そして、それ自体は全然マイナスなことと捉える必要はありません。入れたい色がたくさんあるがゆえに、それらを全部入れてしまうというか。

その場合、完全に同じ茶色ではなく、紫っぽかったり、赤っぽかったり…少しずつ配合が異なる茶色になっているのではないかなと思います。
入れたい色を全部入れたら茶色っぽくなったという体験が、失敗というわけではなく、それはそれで快感というか、「うわー!こうなるんだ!」と新しい発見ができる体験だと思っています。
茶色やグレーしかないと嫌かな、つまらないかな、と思うのは子どもよりもむしろ大人の方だったりもします。
子どもたちが、茶色は茶色で「あまりきれいじゃない色」ではなく「おもしろい色」みたいに捉えられていたら、それは素敵なことだなと思います。

(教材公開前に実施しているモニターテストでは、その日着ていた服がカーキと茶色で、キャラクターをおそろいにするために、あえて茶色っぽい色ばかり作っていた、ということがありました。)

まぜまぜパレットを一緒に楽しむために、こんな声かけの仕方があるよという例を教えて下さい。


A. 「◯色を入れなかったら、どうなるかな?」と、試してみたくなる問いかけをしてみたり、家にあるものや着ている服を指して「この色とこの色お願いします!」とおままごと風にやってみるのもおすすめです。

さまざまな色を生み出すためには、色を絞ることが必要なのですが、5色使えるのだけど、あえて2色や3色にする「引き算の美しさ」は初めのうちは結構ハードルが高いのかなと思っています。

授業(*)で「まぜまぜパレット」を試してもらったとき、茶色っぽい色の数々に納得はしつつも、「似たような色になっちゃうな」という感じだったので、「赤を入れないでみたら、どうなるかな?」と声をかけてみたところ、試してみて新しい発見があったようでした。

(*) ワンダーラボでは、教材開発のため少人数の研究授業を行っています。


制限っぽくするのではなく、「この色だけにしたらどうなるかな?」「この色を使わなかったらどうなるかな?」と、子どもが試してみたくなる疑問として提示してみるのもひとつのやり方です。(「ただひたすらに絵の具を出して混ぜている」パターンの場合も、この声かけで新しい組み合わせを発見できるかも、と思います。)

子どもたちのタイプにもよるのですが、「いろんな色を作ることを楽しむ」という面においては、ままごと風にするのもありだと思います。家にあるものをいくつか持ってきて、「この色と、この色をお願いしますー!」と言ってみたり、「私が着ている服の色をお願いしますー!」と伝えてみたり。

色の見え方は人それぞれ違うので、子どもが「できた!近い色になった!」と思えればOKとする、というのがこの場合ではとても大事です。

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以上、まぜまぜパレットに一緒に取り組む際のよくある事例と声かけ例でした。

合わせてお読みください
「まぜまぜパレット」で、虹と花火を楽しもう